●国民病といわれるほど、多くの人を悩ませている腰痛
ヒトが2足歩行である限り、上半身の体重が腰に集中するため、腰へかかる負担が避け難いのは致し方ありません。そのうえに、姿勢の悪さ、運動不足、肥満、デスクワークで長時間同じ姿勢を続けるといった要因が加わると、より腰痛を引き起こしやすくしてしまいます。
腰痛は国民病ともいわれるほど、悩まされている人が多い病気です。すでに痛みのある場合は受診し、正しい診断、治療を受けること、また予備軍の人は、日常生活での姿勢をチェックし、改善することが腰痛予防の第一歩です。
●腰痛の原因はさまざま
腰痛の原因は様々なので、自分はどのタイプの腰痛なのかを知ることが大事です。腰痛は、大きく分けて4つのタイプに分けられます。
- ①骨や筋肉に関する要因→
- 骨や筋肉に異常はないが、姿勢の悪さや運動不足といった生活習慣が誘因となる腰痛
- ②内臓などの病気→
- 胃炎、腎盂炎、尿路結石、子宮筋腫、血管やリンパ管の障害、がんなどの病気による関連痛
- ③神経の病気→
- 神経の病気によってマヒが起こり、腰周辺の筋肉が弱くなる
- ④精神的な要因→
- ストレス、神経症、うつ病などが腰痛を招く
このなかでもっとも多いのが①の姿勢や運動不足による腰痛です。このように骨や筋肉自体には特に異常が見られない、腰痛を「腰痛症」と呼んでいます。
●腰痛の検査法と診断
なかなかよくならない腰痛を放置したり、自己流の治療をしていると、悪化させることにもなりかねません。原因を突きとめ、正確な診断のもと的確な治療を受けることが痛みの和らぐ近道です。一般的な腰痛の診察、検査は次のような流れで行われます。
- ①問診
- 痛み始めた時期や痛みの程度といった症状の聞き取りが行われます。どんな動きをしたときに痛みが増すか、以前にも同じような痛みを経験したことはあるかなどを質問されるので、事前にまとめておくと診察がスムーズに進みます。
- ②全身・神経系の診察
- 姿勢の観察、脊柱や筋肉の状態を調べる触診、からだやひざの曲げ伸ばし、片脚立ち、しゃがむなどの軽い運動をしたときの痛みの有無の確認を行います。また指や筆で脚を触られたり、ひざやアキレス腱をハンマーで叩いて神経が障害されているかを診る検査もあります。
【画像診断】
- ③X線検査
- 骨の異常を調べる検査です。ふつうは体の正面と側面からX線撮影が行われますが、必要に応じて左右、斜めからの撮影や前かがみになったり、反ったときの撮影も行われます。
- ④CT(コンピューター断層撮影)検査・MRI(核磁気共鳴画像)検査
- 外来で受けられるもっとも精密な検査です。CTではX線を使い、骨の横断面を撮影します。MRIは、磁気によって神経などの柔らかい部分の異常を調べることが可能です。
- ⑤脊髄・椎間板造影検査
- 入院して行われるより精密な検査です。腰に針を刺して造影剤(X線に写る液体)を注入し、X線撮影をします。検査時間は約15分ですが、終了後はしばらく安静が必要です。
●腰痛予防のポイントはよい姿勢をキープすること
腰痛を予防する一番の対策は、日常でよい姿勢を保つことです。最初はなかなか定着しませんから、街を歩いている時にショーウィンドウなどで全身の姿勢をチェックしたり、周囲の人に見てもらいながら、少しずつ“腰痛知らず”の姿勢に矯正していきましょう。
【立つ】
○背筋とひざを伸ばし、あごを引いて、視線は6mくらい先の地面を見るようにします。おなかに軽く力を入れて肛門を締めるようにしてお尻の筋肉に緊張感を持たせます。
×背筋を丸めたり、反り返るのは腰に負担をかけます。

【座る】
背筋を伸ばしてあごを引き、おなかに軽く力を入れて引っ込めます。腰の反りが大きくならないように深く座り、お尻も背もたれに密着させます。

【歩く】
○背筋を伸ばしておなかを引っ込め、肩の力を抜き、腕は自然に前後に振ります。ひざを伸ばし、かかとから着地します。
×腰が後ろに引けた歩き方はNGです。

【物を持ち上げる】
○持ち上げる物に近づいてしゃがみ、おなかに力を入れて物を引き寄せます。腕だけで持とうとせず、腰とひざを意識し自分のほうに近づけて持ち上げます。
×体から離れたところから、腕だけで持ち上げるのは危険です。

【ギックリ腰の対処法と予防策】
ぎっくり腰は何の予兆もなく、突然襲ってきます。腰の痛みを感じたら、とにかくまずはその場で安静にすることです。座り込んだり、壁などにもたれかかります。室内だったら床(堅い場所が腰によいので)に横たわりましょう。横向きでも仰向きでも、自分が1番楽な格好で安静に寝ることです。2~3時間すると痛みは自然に引いてきますから、その間はじっとしているのが賢明です。冷たい湿布薬があれば患部に貼りましょう。直後は冷湿布、4日後くらいからは温湿布やカイロなどで患部の血行をよくしてあげましょう。
一度、ぎっくり腰を経験した人は、体が冷えると再発の可能性が高まります。冬場は体が十分温まってから、アクションを起こすようにしましょう。
