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肺疾患の予防

 現在、ガンによる死亡原因の1位を占めている「肺ガン」、“肺の生活習慣病”といわれる「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」。この二つの病気には、喫煙が大きく関係しているという共通点があります。しかも、喫煙者本人だけでなく、まわりの人にまで影響を及ぼしてしまうこともわかっています。まずは、これらの病気について正しい知識を身につけ、一日も早い禁煙を目指しましょう。“禁煙”にまさる予防法はないといっても過言ではないのですから。

肺ガン

●早期発見が完治へのカギ

 かつて日本人のガン死亡は胃ガンが大半を占めていましたが、1993年以降、肺ガンはガンによる死亡原因の男性は第1位、女性は第3位となっています。若い年代の女性の喫煙率も上昇していますから、これからますます、女性の肺がんも急増していくことが懸念されます。
 一方で、早期発見がむずかしいといわれていた肺ガンですが、最近では、ヘリカルCTといわれる装置で、みつけにくい部位にできたガンや、5ミリ程度の小さなガンも発見できるようになりました。それによって治療法の選択肢も広がり、確実に治る例が増えているのです。

●肺ガンの種類、進行状況で異なる治療方針

 肺ガンは、発生部位を大きく2つに、組織のタイプを大きく4つに分類します。そして、発生したガン自体の状態(T)、リンパ節への転移の状況(N)、さらにリンパ節以外の臓器への転移(M)により、肺ガンの病期(ステージ)が決まります。治療法としては、多くの場合、“集学的治療”といわれる、各種の治療法を併用する方法を行っていきます。もちろん、それぞれの患者さんに合わせながらベストの治療法を選択するのですが、一般的には、手術や放射線療法といった局所療法と、化学療法(全身療法)の組み合わせで進められます。

【ガンの発生部位による分類】

中心型(肺門型)肺ガン
太い気管支に発生したガンで、喫煙の影響が強い。
抹梢型(肺野型)肺ガン
肺の奥の方にできるガンで、喫煙の影響は比較的少ないといわれている。

【組織のタイプによる分類】

小細胞肺ガン
増殖のスピードが非常に速く、脳や骨、リンパ節など全身に転移しやすい。しかし、他のタイプの肺ガンにくらべると、抗ガン剤が効きやすいという面もある。
非小細胞肺ガン
扁平上皮ガン、腺ガン、大細胞ガンで、治療方針は共通している。

●肺ガンの症状

 中心型肺ガンは早期から咳や痰、ときどき血痰などが現れます。しかし、末梢型肺ガンは早期にまったく症状がありません。肺ガンのうち、末梢型肺ガンが占める割合は約7割ですから、肺ガンの大部分は早期にはなにも症状がないことになります。つまり、倦怠感や食欲低下、体重減少、発熱といった全身症状が現れた段階では、すでにかなり進行してしまった状態だといえるでしょう。たとえ症状がなくても定期検診が必要なのです。

【たばことは無縁でも・・・】

 肺ガンのなかには、喫煙の影響が薄いと考えられるものもありますし、たばこを吸わないからといって肺ガンにならないという保証もありません。たばこを吸わない人も、定期検診を怠らないようにしましょう。

*COPD(慢性閉塞性肺疾患)

●社会的にも注目されるCOPD

 COPDは世界中で増えている病気です。WHO(世界保健機構)の統計では、全世界の死亡順位の第4位となっており、今後もさらに増え続けると予想されています。
 現在、日本の推定患者数は約530万人で、そのうち、治療を受けている人はわずか21万人程度です。ほとんどの人が、気づかないうちに重症に陥ってしまうのです。
 このCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、別名“たばこ病”といわれるほど、喫煙が原因で起こる病気です。たばこの有害な空気を吸うことで、息をするときに空気の通り道となる気道(気管支)や酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害が起こり、それによって空気の出し入れがうまくできなくなって息切れが起こります。進行すると慢性の呼吸不全となり、在宅酸素療法が必要になります。
 なぜ、気づかないまま重症に陥りやすいのでしょう。それは、ほとんどの人が、この病気の三大症状である咳・痰・息切れを、たばこや老化のせいだと思い込んで放置してしまうからです。また、他の病気と間違えて治療を受けているうちに重症化してしまうこともあります。
 COPDは、早い段階で治療を始めれば悪化を食い止めることができる病気ですから、気になる症状がある場合は、一日も早く診察を受けましょう。

【COPDの可能性をチェックしてみましょう】

※一つでも当てはまったら、COPDの可能性があります。
(40歳以上で10年以上たばこを吸っている人ほど、さらに可能性は高まります)

●肺疾患の予防には、何より禁煙

 たばこには、発ガン性物質をはじめ数多くの有害物質が含まれています。「肺ガン」「COPD」は、いずれもその有害物質によって細胞や組織が破壊されることによって発症します。肺ガンの場合は喫煙以外にも遺伝や大気汚染、受動喫煙などの要因も考えられますが、たばこが肺ガンのリスクを高めることは疑う余地がありません。これらの病気で命を落とさないためには、まず禁煙することです。そして、必ず定期検査を受けてください。どの病気にも共通していえることではありますが、早期発見が最善の対応策を考える第一歩となるのです。