ここ数年、ストレスが引き金となって起こる「心の病気」が増えています。競争社会、管理社会、ハイテク社会といわれる今の時代、ストレスと無縁な人などいないといっても過言ではありません。
私たちの身体は、常に安定した状態を保つようにできていますが、外部からの生理的、物理的刺激(ストレッサー)を受けることによってその状態が乱れると、すぐに元の安定した状態に戻ろうとする反応を起こすのです。このときの反応が、身体機能に異常をきたす場合があります。たとえば、イライラや不安、集中力低下、肩こりなどが起こり、さらに長く続くと「うつ病」や「心身症」、それまでまじめで常識的だった人が、思いもかけない行動をとる「退却神経症」などを発症することもあります。とはいえ、すべてのストレスがマイナスの影響を及ぼすわけではありません。本人が心地よいと感じるストレスの場合には生体反応はうまく適応し、夢や目標、向上心をもつことなどにつながります。つまりストレスは、それに対する本人の考え方や受け取り方によって、プラスにもマイナスにも作用するというわけです。
ストレスチェック
- 疲れているのに眠れない(寝つきが悪い、眠りが浅い、熟睡感がない、早朝に目が覚める)
- 風邪をひきやすく、なかなか治らない
- 午前中は身体がだるい(休んでも眠っても疲労感がある)
- 根気がなくなった
- 性生活がおっくう
- 最近、タバコや酒の量が増えた
- ささいなことで怒りっぽくなった(声を荒げることもある)
- 頭が重い(軽い頭痛が常にあり午前中が特にひどく、午後は少し回復する)
- おなかが張る(ガスがたまってふくれている感じや、便秘がちになった気がする)
- 集中力が落ちてきた
※思いあたることが
- 3つ以上ある→
- ストレス状態にあります。重症になる前に、ストレスをその日のうちに解消しましょう。
- 5つ以上ある→
- かなりストレスがたまっています。十分な睡眠や休養をとるようにしてください。
- 8つ以上ある→
- 治療が必要です。かかりつけ医に相談するか、あるいは専門医を受診しましょう。
●「心の病気」は早期発見・早期治療が最大のポイント
「心の病気」の発見が遅れて症状を重くしてしまうと、長期の休養が必要になり、結果的に会社や同僚に迷惑をかけることにもなりかねません。本人や家族だけでなく、社会にも大きな損失を与えることにつながるのです。したがって、「心の病気」には早期発見・早期治療がとくに大切です。最近とくに増えている、軽症のうつ病などは、外来への通院だけで治療が可能ですので、まずは、「心の病気」を理解し、偏見をなくすることからはじめましょう。
●うつ病とは?
うつ病は精神疾患の中でもっとも多く、周囲や本人が気づかない軽症のうつ病も含めると、人口の20%が生涯に一度はかかるといわれています。つまり、誰もがかかる可能性がある、「心のかぜ」ともいえるのです。
症状としては、憂うつ感、おっくう感、思考力の減退、決断力の低下などの精神症状と、全身倦怠感、不眠、食欲不振、頭重感などの身体症状があり、一日の中でこれらの症状が変動します。
うつ病はこれといった原因がなくても起こりますが、何らかの生活上の変化がきっかけとなって発症する場合が少なくありません。生活上や仕事上の変化に直面して努力し、心身のエネルギーを使い果たして疲れ切ってしまったときに発症することが多いのです。ところが、うつ病は何かを失った「喪失体験」だけでなく、望みがかなえられた「獲得体験」でも発症します。さらに、ほっとした状況でも起こることがあります。このように、うつ病のきっかけにもいろいろなタイプがあるので、どんなときにうつ病に注意すべきなのか、知っておくとよいかもしれません。
うつ病の引き金になりやすいできごと
- 病気・負傷・手術など
- 就職・転勤・転職・昇進・退職など
- 結婚・お見合い・愛情関係のもつれなど
- 出産・更年期・子供の結婚など
- 配偶者の死・親しい人との離別など
- 留学・入学・卒業など
- 引っ越し・家の新築など
- 負担の急激な増加や急激な軽減など
●ちょっとおかしいな・・・と思ったら
心が疲れているなと感じたら、まずは少し休みましょう。心も身体も、疲労には休養が一番です。一人で悩まず、職場の先輩や友人、配偶者などの身近な人に話を聞いてもらったり、かかりつけ医に相談するのもよい方法です。もし治療が必要となったら、医師とよく話し合いながら治療に専念しましょう。あせらず、服薬と十分な休養が回復への近道です。
●ストレスを解消して「心の病気」を予防
ストレスは本人がそれをどう受け止め、どのように対処するかによって心や身体に与える影響も変わります。楽観的にものごとを考えられるようになれば、それまで苦しいと思っていたことも楽しみに変わるかもしれないのです。しかし、そのためにはまず、心が元気でなくてはいけません。ストレスをため込み、疲れた心と身体では、ますます思考はマイナスの方向へ進んでしまいます。ストレスをうまく解消できる人ほど、気分転換の手段がたくさんあるといわれますから、ぜひ自分に合った、しかも簡単にできるストレス解消法をできるだけ多くみつけて実践してください。それこそが、心の健康づくりの第一歩なのです。
